カルロス王のダブルブル

Kiaora!

…なんや、いきなり。ワシら今、南アフリカやで。もっとそれらしゅう挨拶せにゃ、いかんこ。

いやいや、我々は元々アオテアロアの出身ですから。
陛下も本当は、かの国に戻りたかったようですし。
改めまして、私はカルロス王の忠実な僕にして心の支え、サージと申します。

「忠実な犬」っちゅーと、何か微妙に不愉快な響きやしの。
ディーゼルいいます。よろしゅう。
しかし、あれやね。おやっさんも、わざわざ「ブルズ」なんちチームに移籍するやなんて、どんだけワシらのこと好きなんやっちゅう話やの。
その前はフランスでプレーしてたわけやし、これで合わせてホンマにフレンチ・ブルっちゅーてな。

…ひとつのセリフでお詫びと訂正しきれないほどボケるの、止めてもらっていいですか?

えろうすんまへん。ワシらホンマは、フレンチ・ブルやのうてファラオ・ハウンドですねん。

話が進まないんで流しますが、陛下がイングランドからスーパー14のライオンズに移籍して早くも3試合が終了しました。
ここまで3連敗と未だ勝ち星が無いわけで、実に御労しい…

内容は悪うないと思うんやけどな。
所詮は通算勝率3割以下のチームや。2002年以降は全部二桁順位やで?
これからやろ。

そうは言っても、不慣れな土地での陛下のご苦労を思うと涙が…見通しは明るいと思って良いのでしょうか?

なんとも言い難いな。良うも悪うも、今は味方の方がおやっさんの動きに翻弄されとる状態やさけぇ。
なにしろ、興が乗ればこないなコトや、こないなマネまでしよるお人やさけぇの。どなたはんも従いて行くんは大変やろ。

では、賤民達が陛下の素晴らしい動きに対応できるようになれば、2003年のような栄光が再び訪れることもあり得ると?

さ、そこやがな。何しろ、おやっさんは王様やさけぇ、何にしても中心にしたチーム作りをせにゃアカンわなぁ。ところがどうも、おやっさんのプレースタイルに今更驚いとる輩がおったりしてるようでな。「変な動きを止めて、落ち着け」と。こんな声が大きくなったら、もうアカンわなぁ。

な、なんと…それではまるで、わざわざ司会にビートたけしを起用しておきながら、「自分がしゃべりすぎずに、周囲を見ながらマジメに進行してください」と依頼するようなものでは。殿の本領が全く発揮されないではないかっ!

殿ってあんさん…ま、せやね。つまり、こういうことやろ。今までは非力なエンジンでゆっくりと安全に運転していた。レースには勝てんけどな。そこで急にスピードのあるエンジンに積み替えたかて、こりゃドライバーも周囲のパーツも悲鳴をあげるわな。ただでさえ制御しにくいエンジンや。ほっから、なんとかスピードに慣れて乗っていかなアカンのやけど、ビックリして「あのクルマは危ない。別なのにしろ。」ゆうてるのが今と違うやろか。

もったいない話ですな。お互いに。それでは彼らが望むタイプのフライハーフは一体?

今のスプリングボックスのフライハーフゆうたら、あれや。モルネ・ステイン。キックが正確無比で、パス回しは堅実というかオーソドックス。攻め手に困ったらチップキックに活路を見出そうとして、危なくなったら確実にタッチに逃れる感じやろか。

それって陛下とは…

真逆のタイプやね。

お、お、おのれ無知蒙昧な愚民どもめ。何が「キャリアの黄昏時」だ、陛下はいつだって黄金時だわい!「残り5mでクイックスタートしたことがゲームプランの欠如」?!攻撃手段が決まらずにグズグズと話し合い、結局無難にキックを選択するのが欠如だろうが!取り切れなかったのはチーム力の問題っ!ショートキックはオプションのひとつ!カウンターを受けたのは結果論っっ!!

ちょっとあんさん、落ち着きなれ。別におやっさんのせいだけやないって冷静な意見も多いんやし。
実際なぁ、今からおやっさんみたいな年齢のいった異邦人を中心にしたチームづくりってのもムリがある思うで。チーム内に後継者がおるんなら話は別やけど。それにな…

む、ムリってなんですか。あなたまでそんな。だったらチーム作りの方針が無いのはクラブ側の問題でしょっ。わ、わ、わたしはね、悔しいのは、そんなことじゃなくて、せっかく陛下の元気なプレーが見られるというのに、それを楽しめないんだったら何故呼んだのかという…

せやなぁ。プレーできる限り、ムラはあっても手ぇは抜かん人やけぇなぁ。何かが起きるかもってワクワク感を楽しんでくれたら、よろしいんやけど。
!おやっさん、帰ってきよったで!

わんわん!

くーん、くーん。

(あ、おやっさん…怪我してはるやないけ!)

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