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カルロス王のダブルブル #2

サオボーナ!

なんて?

いや、先日は興奮してしまい失礼しました。
南アフリカの皆さんに少しでも馴染もうと、あいさつを現地語で。

あのなぁ、アフリカーンス周りは言語がたくさんあって、下手に特定部族の言葉持ち出しても通じひんらしいで。馬鹿にしてると思う人もいてるようやし。英語話者なんやさけ、素直に「こんにちわ」言うたらよろし。

やー。今日は南アフリカの皆さんにも陛下の魅力をわかってもらおうと、ある動画を探して参ったのですよ。

おぉ、これか?確かに、おやっさんのハカリードは歴代でもトップクラスだと評判やさけぇの。

違いますよ。ハカのリードがいくらクールでも、南アフリカの皆さんへのアピールにはならないじゃないですか。
じゃじゃーん☆こちらをご覧ください。

あぁ、これなぁ。2004年のクルセイダーズ戦やな。確かにこれは、大興奮やったわ。

何しろ相手は、前年の決勝戦も戦った宿敵クルセイダーズ。ラスト10分で売り出し中だったダン・カーターが同点のコンバージョンと逆転のペナルティを共に外すも、最後の猛攻をブルース陣5mラインまで押し込んでいた79分からですよ!ゴール内からの80mトライ!

おやっさんのロングパスを受けたヤングスター・ロコソコが華麗なステップでボールを運んで、ジャスティン・コリンズが絶妙のサポート。そこへ再び、カルロスはんが現れて一気にゴール下まで持っていったんやったな。

しかも、これで勝利が完全に確定したのをいいことに、わざわざコーナーポストまで悠然と歩いてのトライ。翌日の新聞に「Cocky (生意気、傲慢)」なんて書かれましたっけ。

また、グラウンディング前にフィン・ファンネルのようにフワッと現れるチームメートの動きがな。あそこまで走ってサポートしていたことも凄いし、まるで海洋生物が群れでひとつの生き物に見えるような美しい動きやのぉ。

しかもしかも、更にですよ。

そう。この後、わざわざ難しくしたキックを、自分でキッチリ決めて終わるゆうんやから憎らしいやないか。ホンマ、鳥肌立ったわ。
オークランドのパブはこの後、一晩中この話ばっかりしとったで。

それ!それですよ!その興奮を得られるような試合が、陛下以外に出来ますか?!
確かに、全く機能しないで良いところなく負けてしまう試合もあります。ですが、一生記憶に残るような鮮烈な試合を出来るのもまた。ここでタッチキックでどうにか「逃れ」たところで、ただの1勝にしかならないのですよ。

ま、キミの言うことも分かるけどな。でもなぁ、やっぱりあれは少しでも安全に行くのが普通や思うで。それに、あの時のバックス陣見てみ。異次元スピードのサウサウとスーパーリーグ通算トライ王のダグ・ハウレット。弾丸小僧のトゥイトゥポゥに、スーパーリーグのシーズントライ記録を作ることになるリコ・ギア、不動のオールブラックスFBムリアイナやで。かてて加えて若きロコソコにルーク・マクアリスター。全員が世界トップクラスのタレント達や。だからこそ、おやっさんの無茶ともいえる要求に応えて、あれだけのパフォーマンスが出来たとも言えるんやないこ?

…陛下の動きに対応していきながら、鍛えられてあそこまでになったとも言えませんか?自分は、ライオンズが陛下に期待したのは、そういった「X-Factor」を持った選手が育ち、チームに活気と自信を与えるためではないかと思っていたのですよ。

そうやなぁ。手前味噌な見方やとも思うけど、一理あるとは思うわ。ましてや、これだけ低迷しているチームやさけぇな。手堅く勝とうなんて、おこがましいやろ。

なのにあの、目先の果実しか求めない近視眼の即物主義者どもは、安直に「今までと違う」という理由だけで批難しおってからに!何がビジョンじゃ、所詮は燕雀いずくんぞ 鴻鵠の志を知らず、「見えているものが違う」のと「何も見えていない」のは全然違うことを理解できない近代資本主義の権化、成金の拝金主義者め!

なんや、まだ根に持ってたんかいな。しかも途中からなんや、誰のこと言うとるんか分からんようになってもうたで?
ま、しかしあれやね。ワシとしては、ブルースにその判断をして受け入れて欲しかったところやね…
!おやっさんがシャワーから出てきたで!

へっへっへっ!

ぐるるるるるる

(なんや、怪我ってその胸の湿布だけかいな。こりゃ、バートンが機能するようなことがあれば、また身の振り方考えないかんようになるなぁ…)

カルロス王のダブルブル

Kiaora!

…なんや、いきなり。ワシら今、南アフリカやで。もっとそれらしゅう挨拶せにゃ、いかんこ。

いやいや、我々は元々アオテアロアの出身ですから。
陛下も本当は、かの国に戻りたかったようですし。
改めまして、私はカルロス王の忠実な僕にして心の支え、サージと申します。

「忠実な犬」っちゅーと、何か微妙に不愉快な響きやしの。
ディーゼルいいます。よろしゅう。
しかし、あれやね。おやっさんも、わざわざ「ブルズ」なんちチームに移籍するやなんて、どんだけワシらのこと好きなんやっちゅう話やの。
その前はフランスでプレーしてたわけやし、これで合わせてホンマにフレンチ・ブルっちゅーてな。

…ひとつのセリフでお詫びと訂正しきれないほどボケるの、止めてもらっていいですか?

えろうすんまへん。ワシらホンマは、フレンチ・ブルやのうてファラオ・ハウンドですねん。

話が進まないんで流しますが、陛下がイングランドからスーパー14のライオンズに移籍して早くも3試合が終了しました。
ここまで3連敗と未だ勝ち星が無いわけで、実に御労しい…

内容は悪うないと思うんやけどな。
所詮は通算勝率3割以下のチームや。2002年以降は全部二桁順位やで?
これからやろ。

そうは言っても、不慣れな土地での陛下のご苦労を思うと涙が…見通しは明るいと思って良いのでしょうか?

なんとも言い難いな。良うも悪うも、今は味方の方がおやっさんの動きに翻弄されとる状態やさけぇ。
なにしろ、興が乗ればこないなコトや、こないなマネまでしよるお人やさけぇの。どなたはんも従いて行くんは大変やろ。

では、賤民達が陛下の素晴らしい動きに対応できるようになれば、2003年のような栄光が再び訪れることもあり得ると?

さ、そこやがな。何しろ、おやっさんは王様やさけぇ、何にしても中心にしたチーム作りをせにゃアカンわなぁ。ところがどうも、おやっさんのプレースタイルに今更驚いとる輩がおったりしてるようでな。「変な動きを止めて、落ち着け」と。こんな声が大きくなったら、もうアカンわなぁ。

な、なんと…それではまるで、わざわざ司会にビートたけしを起用しておきながら、「自分がしゃべりすぎずに、周囲を見ながらマジメに進行してください」と依頼するようなものでは。殿の本領が全く発揮されないではないかっ!

殿ってあんさん…ま、せやね。つまり、こういうことやろ。今までは非力なエンジンでゆっくりと安全に運転していた。レースには勝てんけどな。そこで急にスピードのあるエンジンに積み替えたかて、こりゃドライバーも周囲のパーツも悲鳴をあげるわな。ただでさえ制御しにくいエンジンや。ほっから、なんとかスピードに慣れて乗っていかなアカンのやけど、ビックリして「あのクルマは危ない。別なのにしろ。」ゆうてるのが今と違うやろか。

もったいない話ですな。お互いに。それでは彼らが望むタイプのフライハーフは一体?

今のスプリングボックスのフライハーフゆうたら、あれや。モルネ・ステイン。キックが正確無比で、パス回しは堅実というかオーソドックス。攻め手に困ったらチップキックに活路を見出そうとして、危なくなったら確実にタッチに逃れる感じやろか。

それって陛下とは…

真逆のタイプやね。

お、お、おのれ無知蒙昧な愚民どもめ。何が「キャリアの黄昏時」だ、陛下はいつだって黄金時だわい!「残り5mでクイックスタートしたことがゲームプランの欠如」?!攻撃手段が決まらずにグズグズと話し合い、結局無難にキックを選択するのが欠如だろうが!取り切れなかったのはチーム力の問題っ!ショートキックはオプションのひとつ!カウンターを受けたのは結果論っっ!!

ちょっとあんさん、落ち着きなれ。別におやっさんのせいだけやないって冷静な意見も多いんやし。
実際なぁ、今からおやっさんみたいな年齢のいった異邦人を中心にしたチームづくりってのもムリがある思うで。チーム内に後継者がおるんなら話は別やけど。それにな…

む、ムリってなんですか。あなたまでそんな。だったらチーム作りの方針が無いのはクラブ側の問題でしょっ。わ、わ、わたしはね、悔しいのは、そんなことじゃなくて、せっかく陛下の元気なプレーが見られるというのに、それを楽しめないんだったら何故呼んだのかという…

せやなぁ。プレーできる限り、ムラはあっても手ぇは抜かん人やけぇなぁ。何かが起きるかもってワクワク感を楽しんでくれたら、よろしいんやけど。
!おやっさん、帰ってきよったで!

わんわん!

くーん、くーん。

(あ、おやっさん…怪我してはるやないけ!)